2008年1月24日

1、早大5年生による就職活動論

 時々、「就活の相談に乗ってください」といわれる。考えてみれば5年目の僕は就活をしている彼らよりも二回りも上。つまり、就活の相談を受けるのは3度目ということになる。

 とはいえ僕はリクナビの登録すらしたことがない。よく耳にする「ゼネコン」や「コンサルタント」がどういう職種なのか相変わらず分からないし、「外資系企業」なんて言われてもピンとこない。身内にも一般企業に勤める人間はいないから、いよいよ「企業」とは縁遠い(親父は中卒の大工だった)。

 僕は人と飲み語ることを大学生活の柱の一つとしてきた。だから相談の類には必ず乗る。ただし、そういうわけで話が就活に関する時は念のため前置きをするようにしてる。「話は聞くけれど、それが就活に使えるかは分からないよ」、と。

 だいたいの場合、彼らの方がよく承知していて、「まぁとりあえずこいつの話も聞いとくか」、くらいのノリのことが多い。だから机にはたいていビールがある。そうして、僕は好き勝手に語ることになる。

 実は、エントリーシートのチェックも含めて、就活へ向けた話を聞くのはとても楽しい。彼らががんばってきたこと、苦労してきたこと、そのエッセンスを聞くことができるから。ある時は笑い、ある時は涙できる。身近なやつでも「こいつはこんな思いをもってたんだなぁ」とおどろくことがある。

 人が本気で語るストーリー、どんな小説よりも、それが僕のいちばん聞きたい物語なんだ。そして自分を語る彼らの真剣な眼差しは、なんとか応えてあげたいなという気持ちを呼び起こす。

 ただ、彼らの話を聞いていると、焦りすぎて空回しているなぁと感じることがある。反対に、楽天的過ぎると思うこともある。だいたい男は「俺ならイケルと余裕こく」→「第一志望に落ちて一気に焦る」のケースが多過ぎる。

 僕も3年生の時は楽天的だった。当時はリンク&モチベーション一筋だった相棒の庄司に「お前なら楽勝っしょ」と言って安心させて、そのせいとも思ってないけれど、うまくいかず結局彼は就活浪人することになる。

 庄司のように再挑戦して、結果よかったねというケースもある(おかげでMEGA PEACEを一緒にやることもできたし)。僕のささやかな哲学として遠回りした方がいろんな景色が見えて楽しいとも思う。とはいえ、独立して歩む人生へのはじめの一歩。なるべく早いうちから考えて、行動したほうがいい 。

 試験もひと段落すると、いよいよ就活本番。あとひとつ落とすと留年確定の同居人コテツくんも、今は必死で勉強しているけれど、ぼちぼち本腰を入れることだろう。なんだんかんだ同じ部屋でよく話す彼とも、それからほかの後輩とも、就活について語ることが多くなるはずだ。

 僕自身は彼らと同じ立場で悩んだことはない。でも「傍観者」としての経験が役に立つことも、少しくらいはあると信じたい。就活生が次第に焦り、顔つき言葉遣い、そして心境が変わっていくのを間近で見ながら、その時々において自分なりに精一杯考え、応えてきたつもりだから。

 なにを考え、どう語ってきたのか。次から就活において必要だと僕が考えることを書いてみようと思う。