2008年1月24日

2、就職活動は恋愛である

 という例えがある。そう語られる多くは陳腐な比喩で、ふたつの存在が一緒になるかならないか、というような話が多い。僕は、就活と恋愛にはかなり似た構造があると思っている。ただしそれはもうちょっと掘り下げた意味でなんだ。

 「2008年を迎えて」でも書いた通り、僕の人生は初恋から急にスピードを上げて動きだした。それ以来、恋愛を自分の人生を語る上で欠かせないものとして扱ってきた。あの子が好きだ!みたいな意味合いではなく、さまざまな事象を考える際に恋愛という概念をベースにしてきた、ということ。

 いい年の男が恋愛論なんてものを語る時はだいたい脇にビールがある(僕の脇にはいつもビールがある)。そして、いつもビールを飲みながら恋愛について語っているうちに思いついたのが「ビールの泡理論」。

 ビールは泡との比率を3:7にするのが理想的らしい(僕は2:8くらいが好きだ)。「ビールの泡理論」とは、ひとりの人間を一杯のビールにたとえると、ふつうに友人として付き合って理解できるのは泡の部分まで、つまりせいぜい2~3割に過ぎない、という考え。ちなみに「告白」はその3割から先を知ろうという意思表示であり、「付き合う」のはそれを互いに認め合うこと、という意味になる。

 たいていの人において就活では辛い経験が続く。たしかに企業に落とされるのはしんどいのだと思う。いろんな人を横で見ていてつくづく感じた。でもそれであたかも自分の人格や人生が否定されたような泣き顔になっている彼らを見ていると、「そんなことないだろ、お前のいいとこ他にこんなにあるじゃん」と言いたくなる。

 上手くいかなくて落ち込んだり凹んだりするのはいい。でも、傷つくのは間違ってる。傷つくべきことは、世の中にもっと転がってるよ。ちょっと見方を変えれば、就活を傷つくための場ではなく、自分を磨き、楽しむための場にできるはず。

 そもそも3割しか自分のことは伝わらない。自分も3割しか相手のことを知らない。残りの7割は人間の手の届かないところにある。だから、伝わらなくても仕方ないんだ。就活(や恋愛)が上手くいかない時は、良くも悪くも、そういう割り切り方が必要だと思う。

 上手くいかない時、僕ならどうするか。きっと、割り切れない思いを抱きながら、前へ進もうと努力すると思う。いま就職活動で上手くいかないことがあって、どうしても割り切れない人がいるなら、こう伝えたい。

 世界には数十億の女性がいるように、世の中には働く場所が限りなく存在する。「運命の人」というのが美しい幻想であるのと同じく、「その会社以外は考えられない」というのは思い込みだ。

 努力はしたけれど、分かり合えなかった。僕がどんなに愛そうとしても、あるいは向こうがどれだけ愛してくれようとも、どちらかが愛せないのなら、その事実に逆らうことはできない。ならば、哀しいけれど、未来を信じて前に進むしかない。道の先でいつか、ふたりにより素敵な出逢いがあることを祈りながら……。


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 で、僕は失恋したわけでもなんでもないので、誤解しないようよろしく。就職と恋愛の構造が似てるというのを伝えようと、過去の経験を引っ張り出してみただけです。そういやこうやって初恋を乗り切ったんだったなぁ。。。なんて思いながら。

 ところで。時に「仕方ない」ことにも挑戦しなきゃならない。そして、たいていは解決する手段がある。そういうわけで、就活と恋愛の比喩において語り残したことがまだふたつ残ってる。

 再びビールで例えるなら、ひとつはビール自体をおいしくすること、もうひとつは泡をきめ細かくすること。言い換えれば前者は自分を磨くことで、後者は伝える技術・知る技術を磨くことだ。

 今回は心構えについて書いたので、次はすこし実践的なふたつの「磨くこと」について書いてみようと思う。今回は偉そうに「ビールの泡理論」なんて名づけて語ってみたけれど、酒の席での話くらいに思って大目に見てもらえれば幸いです。

 でもやっぱり哀しいね。愛しあえないのは仕方ないんだ。そうなっているこの世界が、とてつもなく哀しいと思う。それもまた、仕方のないことだとは思うのだけれど。。。