2008年1月31日

6、落ち続けて凹んでいる人へ

 とにかく、はじめに書いた「就職活動とは恋愛である」を読んでほしい。その上で、これからの話を聞いてもらえればと思う。以下、書類審査と1分くらいの面接なら大丈夫だという前提で(恋愛だって相手にあわせた「身だしなみ」を身につけているのは当然だ)。

 まず志望理由が単なる夢に過ぎない、ということがないかを考えてみるといいと思う。このことは多かれ少なかれ、そして男女の別なく、わりと多くの人と話していて感じる。その企業が何を求めているのかを把握していなくて、イメージだけで語っているケースが多いんだ。

 前回のエントリーで書いた

 「僕はこういう人間です」
 「そして君(御社)はこういう人間(企業)だと思ってる」
 「だから僕は君(御社)にこれを与えられる」
 「そして僕は君(御社からこういうものをもらえると思ってる」

 でいえば「こういう人間(企業)だと思ってる」の部分が曖昧だったり、間違っていたりする。それによって「だから」以降で導き出す結論が間違ってしまう。選ぶ側からすれば「あなたにいいところがあるのは分かるけれど、私はあなたとつきあいたくない」ということになる。「ありがとう、でもごめんなさい」のパターンだ。

 この四つの項目に自分なりの解答を持っておくことは、とても大切だと思う。これができていないと、エントリーシートでも面接でも、何を自分の強みとして持ってくればいいのか分からず、どこの企業でも同じ話をすることになりかねない。

 「とっておきのストーリー」や「自分のいちばんの軸=強み」を持っておくことは大切だ。でもそれだけで希望する企業に受かるのは偶然に過ぎない。その企業が何を求めているのか、それに自分なりに誠実に応えることが欠かせない。業界や企業の研究はそれが目的だろうし、前回話したOB・OG訪問のようなチャレンジはそのためにすごく役立つのではないかなと思う。

 「こういう企業」と判断する時に何が大切かというと、「日々の地味な部分」だと思う。そしてそれは事業内容やパンフレットからはなかなか見えてこない。僕は去年の4月に立ち上げた塾を1年近くの間、自分の仕事としてやってきた。その間に強く感じたのは、追い求める夢と日々の仕事ってこんなにもかけ離れているんだなぁ、ということだ。

 知らない人へ向けて簡単に説明すると、僕の塾はいわゆる進学塾とはすこし異なる。指導方法は対面ではなく、ウェブ・メール・電話による個別指導。指導内容は勉強ではなくて、勉強の方法とスケジューリング。それから生活全般の指導とモチベーションの維持・向上といったこと。

 主な指導対象は受験エリートではなく、不登校児やニートやフリーターといったいわゆる「落ちこぼれ」で、そこから一流大学へ逆転合格しようという者たちだ。年齢は高1から25歳くらいまで幅広い。この塾の目的は、落ちこぼれでも一流と呼ばれる大学に半年足らずで合格できることを証明し続けて、受験戦争のシステムを変えること。さらには、日本の教育を変えることにある。

 と、すこし壮大な話になったけれど、実際にやっているのは地道な電話相談と文章を書くこと。その内容は受験指導ももちろんだけれど、「眠れない」とか「英文が読めなくなった」とか、そういうごくごく地味な悩みに応えることも多い。「お前ら男だろ!」って怒鳴りつけたくなるようなこともたくさんある。でも、、気持ちはわからないでもないから僕なりに応えることになる。

 仮に僕がこの塾にたくさんの応募があったとしたら「受験技術には絶対の自信があります」とか「英語に命を賭けてます」とか「日本を変えたい!」みたいな気持ちだけが先走っている志望者はパスするだろう。僕がまず求めているのは「(落ちこぼれを主とした)人の相談に乗ることが好き」という点で、他のことはどうにでも補えると思うから。

 受験技術は僕が教えるし、仲間と研究していけばいい。歴史を教えるが好きなのも、日本を変えたいのも、あればいいけれど絶対条件じゃない。でも日々いちばん多い作業への適性がなければ、やっていて面白くないと思う。どんなに頭がよくても面白くなければ伸びないし、続かないだろう。3か月でやめそうな人間を雇おうとは僕は思わない。これはどんな会社でも変わらないだろう。

 だからこそ「僕はあなたにこんな適している人間なんですよ」とアピールするときに、どれだけ的を射たアピールになっているのか、それを徹底的に探る必要があると思うんだ。再び僕の塾で例えるなら、僕と一度飲み語れば、僕が塾において何を求めているのかが直感的にも、具体的にも分かるはず。その経験とデータがあれば、どこが自分とあっていて、どこがあわないのか、自分なりに分析することができる。

 仮にこちらが3年で辞めるつもりだとしても、長く付き合っていけるか否かを互いに知りあうのが就職活動だと思う。マッチングがうまくいかなければ、互いにとって不幸な結末が訪れる。だからこその調査、分析だ。

 不採用通知が届いたら「ご縁がなかった」と書かれていても「あなたはうちの会社とはあいませんよ」と言われているということ。でもそれは人格を否定されているわけではなくて、多くは相性の問題なんだ。だから何度も繰り返すけれど、落ちたって傷つく必要はない。自分の研究・対策不足だったと悔やみ凹んで反省して、次に活かせばいい。

 企業によってはこういう細かいことは求めないこともあると思う。でも、こうして自分なりに丁寧な分析をすれば、自信をもって就活に臨むことができる。それはES一枚にも結果として現れる出てくるだろう。

 そう、自信というものが人生を決めるような大きな舞台では、とても大切なことになると僕は思ってる。そして自信を作りだすのは、それを裏打ちする努力にほかならない。基本的には今までの人生で培ってきたもので勝負するしかないけれど、直前期に悪あがきすることでだいぶ変わると思う。

 いろんな試験だって直前期がいちばん大事。そこでサボってたらそれまでの実力を十分に発揮できない。逆に言えば、実力不足なら直前期は追い上げるチャンスということ。そのためにどういうことが必要か、最後のまとめとあわせて次のエントリーで書いてみたい。