2008年10月20日

走ること、考えること。(2/2)

 忙しすぎて考える暇がないのは、まだいい。ただしそれもせいぜい1ヶ月くらい。1ヶ月も色々と経験すれば、人間は別人と言っていいくらいに変わっていく。その瞬間に頭を使っていなければ、道を踏み誤ってしまう。とはいえ、踏み誤るのは一つの経験だから、決して否定すべきことではない。

 危ないのは、走るよりも、まず先に考えてしまうこと。走っていれば、自然と障害物にぶつかって、考えざるをえないのに、考えているだけでは、障害物にぶつからず、かといって出口も見えない、のっぺりとした迷路に入り込んでしまう。そこは何も起こらず、気分を沈滞させる、最悪のエリアだ。

 僕はよくそのエリアに入り込んでいたから、よく分かる。同じように、多くの学生は頭で色々な危険を考えられてしまう分だけ、「まず走る」という感覚が希薄だと思う。それは、チャンスが無数に転がっている学生にとって、あまりにもったいない状況だと思う。走れば、怪我をするかもしれないが、少なくとも何かは得られる。前に進める。

 僕より一つ年上のあるビジネスパーソンと、すこし前に飲んだ。19で会社の社長となり、「20で親父の年収を超えた」という彼は、「休みは1年間に5日だけ」というペースで走り続けながら、毎月50冊の本を読み、どう生きるかを考え続けていた。

 「『頑張ります』っていう人間は好きじゃない」と彼は言っていた。頑張るのは当たり前で、そこから先が勝負なんだ、と。努力家なんていう言葉が生易しく思えてしまうくらい、淡々と日々やるべきことをやり続ける人からは、すこし話すとこういうセリフが聞ける。

 そのレベルで僕らも勝負しなくちゃならないなと思う。


 【フォト】2007年10月20日の大隈銅像。大隈重信の人生125歳説からすると、この日がご臨終の日。ということで2008年10月20日は1周期になるのかなと思っていたけれど、でも、よく考えたら125歳まで生きるのだから、正確には今日がご臨終の日なのでは…?