2008年10月8日

自前の価値

 いま本屋に行くと仕事術の平積みされている。ホワイトカラーの生産性が低い日本を立て直すには、物事の効率を上げるのは確かに必要な処方箋だ。僕もわりとよく読む。でも、そこで忘れちゃいけないことがある。それは、物事の効率化でできることには限界があるということだ。

 やるべき仕事が増えてくると、物事をテキパキとこなすことが評価されるようになる。大学のサークルでも忙しいところだと、そうした傾向が強いように思う。企業で言えば営業成績No.1といったところだろうか。それはそれで大切なスキルだ。でも、いくらスピードが速くなっても、たどりつけない場所がある。

 それは、たどりつくべき場所を自分で創り出す力だ。どのように価値をつけるか(How)の能力ではなく、どんな価値を創るか(What)を考える能力。たとえば、全体がマイナスの方向に向かう時に、あっちに行けばプラスがあるということを指し示す力。それが僕の言うクリエイティビティーということの定義だ。

 Howのことばかり考えていると、大きな流れを見失ってしまう。そのためにWhatの思考が大切になってくる。大きな流れの中でのトップスピードを競う力ではなく、自ら流れを作り出していくこと。言い換えれば、自前の価値を創造していくということ。

 僕は仕事の経験が少ないから、それを補うために仕事術の本を読む。読みやすく即効性も高いから、ついつい手が伸びる。でも、そのたびに僕はこんなことを自分に言い聞かせている。

 自前の価値を創造していくこと。それ以外に生き延びる道はない。


 【フォト】 明治通り沿い、わっしょいの横に新しくできたワンコインのインドカレー屋。副都心線の影響でか、この辺りは出店ラッシュ。