2010年4月9日

世界を変えたい若者をまた一人見つけた

過去に自分が歩んできた道のりの中でたまたま学ぶチャンスのなかった知識の欠如によって未来の可能性が縛られるのはたまらないと思う気持ちが強い起業家は、独学によって自ら道を切り開いていく。起業家精神と独学は不可分なものなのである。
「世界を変えたい」と語る塾生と話をした。でも、どうやって変えればいいのか分からない。「レールを走る過程で多くの人の目が死んでいくけれども、ほんとうに自分はこのまま大学受験を目指していいのか」。

問いかける彼の切実さに、どれだけの人が向き合えるだろうか。「とりあえず大学に行ってから考えよう」などという生ぬるい答えを、彼は決して許容しないだろう。

僕が彼に答える資格があるかは分からない。そう思いながら僕が答えたのは「学ぶことによって「自分の世界は広がる」ということ。まだ君は風呂場の手桶のような、あるいは浴槽くらいのサイズで思考している。

世界は海のように広い。解決すべき問題は山のようにあり、世界は君の意欲と知性を必要としている。まずは世界を知ること。その上で、自分がどの切り口から世界を変えられるのかを求めればいい。そのために必要なのは、学ぶこと。

いろいろ問題はあるにせよ、日本の受験システムは、世界を知るための第一歩としてはかなり優れた仕組みだと僕は思う。問題なのは、ただ暗記することだけに終始して、その先の世界を指し示してくれる人がいないことだ。

「世界を変えたい」と語る貴重な若者の志を、曲げず、すり減らさず、育てていくこと。いま求められているのは、そうした教育なのではないか。いたずらに大人が考える枠の中に押し込めようとするのではなく、一人ひとりが自然と持つ意欲を伸ばしていきたい。

学ぶことで自らを成長させ、新たな地平を開拓していく。結果として自分だけでなく、社会や世界がよりよくなることへ貢献する。そうした「学び続ける意志」を持ち、世界を変えていくロールモデルが必要なのだと思う。目指すべき方向を場所を指さし、道を切り開く姿を見せる人がいれば彼の志は失われずに済むのだと思う。

甚だ僭越なのを承知で言えば、僕はそうありたい。