2008年2月26日

創業一年目を振り返って

 3日前の文学部の試験をもって、本年度の塾の仕事が一区切りついた。後は結果を祈るばかりだ。

 ビジネスの言葉で言えば、本年度は創業一年目にあたる。試験というものは結果でしか判断されない勝負だが、とにかく、最後まで無事に続けることができてよかった。二年目に向けて動き出している今、この仕事は世の中に必要とされている、続けていく価値がある、続けていきたい、素直にそう思えたことが今年一年間のいちばんの収穫だと思う。自分がまっとうな「ビジネス」をできるなんて思ってもいなかったから。

 この一年間、様々な人に助けられてここまでこれた。

 まず平山ビル住人の協力がなければ不可能だった。メガピの仲間たちも僕の仕事にあわせて会議等をスケジューリングしてくれた。それから母が起業を認めてくれなければ大変だったろうし(認めてもらわずともやるけれど、それは面倒なことが多い)、自分の受験は一度失敗したにも関わらず応援してくれた妹にも助けられた。そして塾生たち。彼らの頑張っている姿が、元来怠け癖のある僕の背中をまっすぐに伸ばしてくれていたと思う。支えてくれたみんなに感謝したい。

 塾生たちが受験中ということもあって、これまで塾の経過について書くことはしてこなかった。今日は終えた直後の感想を交えながら、今年度をざっと振り返ってみたい。

 塾の内容についてはホームページを参考にしてもらうとして、ここに書いていないことは、まずこの塾は僕が「個人事業主」となり正式な「事業」として経営しているという点。去年の3月の話だ。まぁハンコをいくつかもらうだけなのではあるけれど、僕がふつうの就職をせず事業家として一歩を踏み出したという点で、僕の人生における決定的な出来事だった。

 一年間の総塾生数は28名。上は25歳までいるが、うち2名が16歳だから受験生は26名だった。この中で受験レベルまでたどり着けたのは半数程度。現実的には厳しい数字だ。

 僕の塾にはエリートはほとんどいない。エリートは僕の塾にいかずとも、授業や地元の予備校で十分だからだ。だから必然的にいわゆる「落ちこぼれ」的な塾生が大半を占めることになる。

 一口に落ちこぼれといっても様々だ。高校を中退していたり(中学にも通ってないことすらある)、あるいは行っていても勉強を一切しないような高校だったり(そしてさらにその中でもケツの方だったりするんだこれが・・・)。

 そんな彼らが目安となる「毎日8時間」の勉強を維持するのは簡単ではない。だから、どうしても続けられないことがある。精神的にナイーブになっている塾生の中には受験を諦めてしまう者もいた。それが受験レベルまでたどりつけなかった半数だ。

 僕の力が及ばずに、辛い、残念な結果となった受験生がいた。だがその一方で、残りの半数においてはよかった点もあった。

 ひとつは、塾生の多くが驚異的な速さで伸びていったこと。

 机に向かうことすらできなかった塾生たちが、教えていくうちにぐんぐん伸びて、他の受験生をあっと言う間に抜き去っていくのを感じられるのは、とても楽しかった。

 継続すること。目指した目標を、最後まで諦めないこと。そうした「克己心」を持っている塾生は確実に伸びていった。まだ結果は出ていないが、数名は当初の予定通り偏差値30台から半年足らずで合格点を取れるレベルにまで至った。それこそ非進学校ですら「ケツ」だった彼らが、自ら不思議がるほど伸びたという実績は、これから塾をやっていく上でのベースになるだろう。

 もうひとつは、毎週の電話相談を年間通して一度も欠かさなかったこと。

 彼らの人生のいくらかを僕は背負ってる。だから塾を開くにあたり、今年一年は一日たりとも休むまい、と誓いを立てた。その結果、お盆も、旅行中も、クリスマスも、正月も、必ず対応した。メガピ中は疲れて電話どころじゃない日もあったが、それでも何とかやった。夢に向かってひた走る彼らと語り合うことが、僕の中に充実感のようなものを生みだしたのだと思う。「途中で投げ出さないか」といういちばん恐れていたことを乗り越えたことは自信になった。

 そして、なにより、たくさんの感謝の言葉をもらえたことだ。

 メールや電話で言ってくれた奴もいるし、それを言うためにわざわざ会いに来てくれた奴もたくさんいた。まだ結果が出てもいないのに、とかえって僕が不安になるくらい。もはや毎年恒例という感じではあるが、ありがたいことだ。この単純な喜びが、来年も頑張ろう、というエネルギーへと変わる。

 願わくば彼らの夢が叶ってほしいが、受験というシビアな競争はその全てを満たしてくれるわけではない。それでも、僕が彼らにとって何らかの力となったと感じてもらえるなら、それが唯一の救いだと思う。僕にとっても、彼らにとっても。

 一年間の反省点は、当初やりたいと思っていたことすべてができなかった、という点。

 去年は平山ビル、道塾、WIF、Unchuという六本木でのクラブイベント出演、そしてMEGA PEACEとフルスピードで走り続けてきた。ただ正直ずっとキャパ超えをしていたために、道塾や「早稲田への道」では電話相談以外で練っていたアイデアが実行できなかった。時間があればもっとサポートすることができた、と悔やまれる部分もある。

 反省点を踏まえて、創業二年目へ突入することになる。

 今年も早稲田で色々とやるだろうが、生活の軸は塾にしていくつもりだ。今年度は塾に充てられる時間がかなり限られていた。来年度は週に最低5日はフルタイムで関われる体制を敷いた。塾のシステムを一気に整備できるだろう。一年間に積んだ経験で道塾をより拡充させつつ、誰もが読める「早稲田への道」も新たに書きたいと思っている。

 まぁでも、先のことは追々書くことにして。とにかく、今年一年間を無事に終えられてよかった。

 受験生はお疲れさま。

 そしてあらためて、塾を応援してくれていたみんな、ありがとう。


 最後に報告。すこし触れてきたけれど、2月1日に事務所を構えました。場所は都電の早稲田駅から30秒くらい(平山ビルのすぐ近く)。ワインを溜め込んであるので、よかったら遊びにきてください。


 【フォト】 我が家の裏手、目白台の森のいちばん下、新江戸川公園にて。胸突坂なんて名がつくほどの傾斜をもつこの辺りの森は、夏目漱石の『それから』にも出てきてた。身近なところに、いい場所がたくさんある。最近よくここで滝の音を聞きながらビールを飲みます。そういえば春一番が吹いたみたいで。昨日は新歓期みたいな空で心が弾んだ。春は、いい。暖かくなって、幸せだなぁ。。。

4 Comment:

しょうじ さんのコメント...

来年以降が楽しみだ。

受験生にマジで幸あれ。

みねやま  さんのコメント...

馬場ちゃん久しぶり!
馬場ちゃんの言葉は、4月から小学校で働く私の背筋をシャンと伸ばしてくれたよ。

匿名 さんのコメント...

初めまして。
というより、自分としてはお久しぶりです。
早稲田への道で個人的にお世話になっていた者です。
ふとスレを読み、早稲田への受験を決意し、奇跡的に合格。そしてこれから4年になろうとするときに、ふと懐かしくなって検索をしてみたら今度は塾を開いていた。
そのバイタリティ、今も受験時と変わっていませんね。
今は偶然にも、私はuさんの事務所から歩いて2分程の、新目白通り沿いに住んでいます。
そういう訳で、受験から3年が経とうとしているのに未だに縁があると感じてしまいます。uさん無しでは自分の中の「早稲田」は語れないようです。
よくまとまっていませんが、今後も後に続く受験生のために頑張ってください。
それでは。
viva WASEDA!

馬場 祐平 さんのコメント...

>匿名の早稲田生
知り合いには直接伝えるからコメント欄では返さない方針でいるのだけれど、ここしか伝わらなさそうなので。

そういう言葉を聞けると、とても嬉しいよ。きっと通りですれ違ったこともあるんだろうね。

俺の言葉で何かが変わった人がこの世の中にいると知ると勇気付けられる。明日も頑張っていこうと思えるよ。

道の先で「あぁ、あの時の」なんて言えたら最高だなと、この時期よく思う。進む先は違うだろうけれど、お互い頑張って歩んでいこう。

わざわざコメントありがとう。

よかったら事務所のドアをノックしてください。だいたい部屋にいるので。

じゃ、また。