2010年1月15日

置いてくる。 受験とスラムダンク

僕のバイブルはいくつかあるが、その筆頭に来るのはやはりスラムダンク。小学校の頃から読み始め、受験期にも唯一読み続けていたマンガだった。僕もいつの間にか桜木より10も歳をとった。今はキャプテンである赤木(ゴリ)の年齢の子たちにも指導しているが、不思議なことに赤木は僕にとって永遠の先輩であり続ける。

名作と呼ばれる作品が概してそうであるように、スラムダンクもまた読み返すたび違うシーンに惹きつけられる。中高生の頃に好きだったのは小暮(メガネくん)が綾南戦で3ポイントを決めて「入った」というシーンだった。地味な努力をコツコツと重ね、それがある瞬間に花開き、実を結ぶ。僕はそういう人生が好きだし、今でもそう生きていきたいと思う。コツコツなんて言うとスタッフには笑われるかな?

この作品の序盤に主人公の桜木がはじめて庶民シュート(レイアップ)を決めるシーンがある。小学校高学年の頃はこれに刺激されてレイアップの練習をしたものだったが、そのコツを桜木は「ひざを柔らかく高く飛んで置いてくる」と言う。不思議なもので、実際にこれを意識するとレイアップが入る。

センターを明日に控えて思うのは、試験のような大切な非日にこそ「ひざを柔らかく高く飛んで置いてくる」のが大切だということ。緊張しすぎたり、力みすぎたりしても実力以上のものは出ない。心を落ち着け、静かな昂ぶりの中で自分がたどりつける限りの高みを目指すことが上手くいくコツだ。

人事を尽くして天命を待つという言葉が僕は好きだ。やるべきことをやれば結果は後からついてくる。それでも不安に思う気持ちを消せないのは百も承知で言うけれど、試験会場に入ったらまず「ひざを柔らかく高く飛んで」みよう。そうすれば、後はこれまで培ってきたものを解答用紙の上に「置いてくる」だけだから。