2008年9月27日

歩きながら歌い、走りながら踊る


 僕は歌を歌うのが好きだ。最近はあまり行かないけどカラオケも好きだし、家でも歌う。でもなんといっても、外で歌うのが好きだ。それはよく「奇行」のように思わるけれど、それを貫いているのは僕なりの理由がある。

 歌いはじめたのは小学校の高学年の頃。はじめて買ってもらったウォークマン(AIWA製で2000円くらいの)に、スピッツとミスチルとマイラバの曲を入れてエンドレスで聞きながら、通っていた塾の通学途中に毎日聞いていた。曲目は、チェリーと、シーソーゲームと、Hello Again(この辺りの歌詞の意味を、最近ようやく分かるようになった)。

 歌う習慣は高校になっても続いていた。それが思わぬ事故を起こした。自転車に乗って、音量MAXで聞き&歌いながらゲームセンターに向かう途中、横からきた車にはね飛ばされて空中で2回転。見ていた人が救急車を呼ぼうとしたくらいの吹っ飛び方だった。幸いにもうまい具合に受け身を取れてかすり傷で済んだものの、自転車に乗っている時の音量は下げるようにした。

 大学に入って東京に出てきてからは、さすがに歌いながら歩くことは減った。僕も人並みに羞恥心はある。でも、岡本太郎の「危険だと思う方を選べ」という言葉を聞いてから、「人前で歌える男になろう」と思って、意識的に(かなり頑張って)歩きながら歌うようにした。はじめは恥ずかしくて、人が来ると小声になったりしていたのだけれど、いつの間にかそれが自然になった。大学4年の頃だ。

 今では何の気なしに歌ってる。仲のいい人と歩いていると無自覚に口ずさんでしまうことすらある。ふと気がつくと手持ちぶさたな感じにさせてしまってたりして、申し訳なく思ったりする。せっかく二人の時間なのに、それを無視しているような気がして。でもそれは僕が安心して一緒にいる証拠なので、許してもらえたらなと思ってる。

 人前で歌える男になろうと思いはじめた頃は、男祭りに出ようかな、なんてことも実は本気で考えていた(庄司もやっていたから)。それは実行されることはなかった。でもそれはいつしか「パフォーマーになろう」という意思へと変わり、清野やてっちゃんとのパフォーマンスや、WIFへの参加という形で実現し、そしてその経験がMEGA PEACEをやりたいという原動力になった。

 いま僕の周りにいる人の多くは、僕が自然と口ずさんでいる姿しか知らないと思う。でも、それは僕の葛藤の末に生まれたものなのだ。そして、あなたと出会った原点なのかもしれないと思う。

 今夜は昨日にもまして寒くなった。こう寒いと、心も体も冷え切ってくるように思えて、それを振り切ろうと僕はまた歩きながら歌う。

 それは僕の理想とする姿でもある。歩きながら歌えたらいい。走りながら踊れたらいい。立ち止まりたくなった時は、自らの歌声で自分を励ましていく。そうやって、なんとか日々を乗り切っていく。


 【フォト】 昨夜の話に出てきたメンツたち。みんな、季節の変わり目には、風邪だけは引かぬよう気をつけて。