2008年12月7日

トンネルを抜ける


 ギャンブルについて語る時、「流れが悪い」という言葉をよく使う。ツキとか運とか呼ばれる「目に見えない力」が働いているという意味だ。僕の周りでは特に麻雀をする奴に多い。でも、僕はそうした非現実的なものをすべて否定してきた。世の中は全て確率論に過ぎず、人間の弱さが生み出した幻想に過ぎないと思ってきた。

 確率論自体はそもそもギャンブルの研究から生まれた。誰からも誉められないが、僕は基本的に「賭ける」ことが好きだ。その象徴として、18の頃から意識的に年1回はカジノに行くようにしてもきた。そこでの経験を積めば積むほど、物事は確率に過ぎないという考えは確信に近づいた。ルーレットで赤が100回続こうとも、次に赤が出る確率は変わらず1/2なのだ(0や00は置いといて)。

 同じ理屈で、スポーツ選手が「スランプだ」なんて言っても、僕は「なに弱気になってんだ」と思うだけだった。単純に確率の問題なんだから、修正するべき部分だけ修正して、ただ黙々と練習を重ねればいいじゃないかというのが僕の考えだった。不調というのは、努力をしていない人間の言い訳に過ぎないと思ってきた。

 でも、それは若くて調子の波の存在に気がついてなかっただけなんだな、ということをこの一年間で痛感している。人とルーレットは違うらしい。とりわけ僕はここしばらく絶不調でどうしようもなかった。赤にベットしているのに、延々と黒が続くような感覚。それは端的に言って、スランプだった。先が見えないトンネルを歩くように、未来への道は暗く、手探りで進んではいたが、なかなかいいアイデアが浮かばなかった。

 それが、この2-3日くらい、すこし調子がよくなってきた。長いトンネルから、ようやく出た、という感じだ。何かと足りないものが多くて好調とは言い難いけれど、一時期のどうしようもない状態からは抜け出したと思う。毎日のようにやりたいことが思いついて、来年がとびきり楽しくなりそうな感じがしてきた。

 この調子が続くといいのだけれど。


 【YouTube】 Mr.Children『天頂バス』。歌詞:『トンネルを抜けると/次のトンネルの入り口で/果てしない闇も 永遠の光も/ないって近頃は思う/だから/「自分のせいと思わない」/とか言ってないでやってみな』。どういうわけかこれずっと好きなんだよなぁ…。