2008年12月6日

「時代の流れ」はMEGA PEACE/シュンポシオン横浜…?


 「シュンポシオン横浜」って知ってますか? たぶんこれを読んでくれてるほとんどの人は知らないから、興味を持ってくれる人向けにちょっとだけ説明(実際とはすこし違うかもしれないが、僕の理解です)。

 ウェブの片隅に、とてもいい感じの空気が流れている小さなブログがあって、そこに色々な人が、少しずつ集まってきていた。そのブログを主催する物好きなおじさんが、ブロガー同士でささやかに集まって飲んでたら、どういうわけか連鎖反応が起きて、日本各地でそんな集まりが頻繁に起こるようになった。それが次第に勢いを増してきて、じゃあ年末に大きく集大成をやろうぜ、ってなったのがシュンポシオン横浜。シュンポシオンとはシンポジウムの語源であり、プラトンにもある『饗宴』という意味だそうだ。

 いままでの集まりも、次のシュンポシオン横浜にしても、はっきりいえば大した集まりじゃない。僕も3回くらい参加させてもらったけれど、年齢も性別も出身も仕事もバラバラな人たちの「饗宴」、要するに飲み会だ。仕事の話をするわけでもなく、せいぜい「ブログ」とか「梅田望夫」といったのが共通ワードになるくらい。知らない人がいきなり入ってくると、「なんだここは」って戸惑うような集まりだ。

 すこしネットに詳しい人なら、「なんだオフ会じゃん」と思うだろう。そう、昔流行った「オフ会」にとても似ている。でも普通のオフ会と違うのは、年齢や趣味といった生活レベルでの共通基盤がないこと。ブログというコミュニケーションツールを共有しているだけで、普段は別々の生き方をしている人たちが一堂に会する場。それは一見大したことないように見えるのだけれど、実は大きな時代の流れを象徴しているんじゃないかと、僕は最近思うようになった。

 去年、仲間と立ち上げたMEGA PEACE vol.1。所属や世代を超えて、人とひととがつながろうという音楽祭だった。「他者への想像力」というのがキーワードのひとつだった。やっているあいだ僕は「ああ、時代の流れがこういう向きにあるんじゃないのかな」と思っていた。漠然と感じていたその「時代の流れ」は、終わった後にんな感じの言葉として僕はよく語るようになった。

 「人と人とが永久につながりあうなんてことはできない。もしそれを目指していたとしたら、ちょっと気味悪い集団だ。でも、ふだんバラバラに存在せざるをえない僕らが、たまに同じ場所や時間を共有するのはとても素敵なことだし、そういう機会は自分以外の世界への想像力をかきたててくれる。」

 そんなMEGA PEACEで感じていた「時代の流れ」の延長線上に、この「シュンポシオン横浜」があるような気がしている。しかも、ウェブやブログという現代に出現した最強のツールを前提としているこの集まりは、大きな「時代の流れ」を一気に加速させる可能性をも秘めているように思える。

 シュンポシオン横浜に至るまでの一連の集まりのことを、参加した人たちは「同窓会」と表現することがある。それはまさしく、生きていたらバラバラにならざるを得ない僕らが、ふだん出会わない人々と出会い他者への想像力を持つ場として、昔から続いてきた集まりだ。しかも素晴らしいことに、この年齢を超えた同窓会には「若い奴らを応援しようぜ」という空気が流れている。これも僕にとってはMEGA PEACEの時と同じ大きな「時代の流れ」に感じられる。

 勝手な予想だが、ここから直接何か「大きなこと」が生まれることはないと思う。この集まりはこの一度きりで、大きなことは何も生まない。だからこそ、面白さがあるのだ。でもその一方で、日本におけるウェブ史の1ページとして語られ得るような気がしている。そんな予感があるのだ。おもしろ半分で参加していた集まりが、まさか僕にとってこういう意味づけがなされるとは思ってなかったが、当日があと一週間後と迫ってきて俄然わくわくしてきているところ。

 ということで、来週土曜日の午後は横浜に行ってきます。楽しみだ・・・!

 シュンポシオン横浜(12月13日@横浜)
 MEGA PEACE vol.2(12月28日@早稲田大学 大隈大講堂)